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2021年 ペンデ

Hong Kong Independent Flm Festival 2021

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僕は屈しない​| Lost in the fumes
香港インディペンデント映画祭2021

2021年 第2回「香港ディペン画祭
開催について

リム・カーワイ

映画監督、2021年香港インディペンデント映画祭主催

2017年、東京・名古屋・大阪の3都市で開催された第1回「香港インディペンデント映画祭」は好評のうちに終了した。同映画祭で日本初公開された、雨傘運動を描いたドキュメンタリー映画『乱世備忘─僕らの雨傘運動』、北京近郊の芸術村で起きた事件をベースに政治がいかに芸術家を監視し、追いつめるのかを描いた『アウト・オブ・フレーム』はそれぞれ山形ドキュメンタリー映画祭と福岡アジア映画祭で作品賞を獲得し、『乱世備忘』は劇場でも一般公開され大きな話題を呼んだ。

2014年の香港でなぜ雨傘運動のような事件が起きたのか、直接には政治的な要因があり、そして間接的な原因としては、例えば香港人のアイデンティティ形成の問題、また返還後の中国との関係や日常生活における問題など、様々な要因があげられる。第1回「香港インディペンデント映画祭」では多種多彩な作品をセレクトし、様々な問題意識をもった監督の作品を特集することで、日本の観客に考えるヒントを提示することとなった。

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『理大囲城』 2020年
監督:香港ドキュメンタリー映画工作者

それから5年後の2019年6月、誰も予想だにしなかった雨傘運動よりも大規模で激しい香港民主化デモが起き、それは新型コロナウイルスが流行し始めた時期まで長期間続いた。そしてコロナ禍真っ只中の23年目の返還記念日に、なんと中国政府が香港で国安法(香港国家安全維持法)を適用することを決定し、中国返還の際の約束であった一国二制度は事実上崩壊したのではないかと世界各国から懸念が集まった。

前回の映画祭が開催された2017年からコロナ禍が起きる2020年まで、ここ数年間の社会と政治状況の激変に対応して、香港の現状を誠実に描いた劇映画とドキュメンタリー映画も数多く作られたが、その多くが商業映画ではなく自主映画だ。映画業界の自己検閲もあり、残念ながらそれらの映画は香港の劇場でも一般公開までには至っていない。2020年のロッテルダム国際映画祭では、香港で上映されなかった政治的なテーマを扱った自主映画の特集が組まれ、国際的にも大きな反響を得たが、日本ではまだ一本も紹介されていない。

 

今回の、2021年香港インディペンデント映画祭ではそのような映画を精選して上映する。必ずしもデモを直接的に描いた映画ばかりではなく、雨傘運動の失敗から2020年まで、香港の若者が一体なにを考え、そしてなぜ彼らが死を覚悟しながら、抗争に命懸けで積極的に参加したのか。多種多彩の映画を通じて日本の方々に理解していただくきっかけになればと考えている。

近年では、香港の自主映画の分野で多くの女性監督が現れたという特徴がみられる。これらの作品を鑑賞された日本のみなさんも香港の女性監督の勇気と才能、社会への関心の深さに感服するだろう。

リム・カーワイ —  Lim Kahwai

1973年マレーシア生まれ。大阪大学基礎工学部卒業後、通信業界で働く。その後北京電影学院監督コースに入学。卒業後の2010年、北京で「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」を自主制作し長編デビュー。その後、香港で「マジック&ロス」(2010年)、大阪で「新世界の夜明け」(2011年)、「恋するミナミ」(2013年)を、2016年には中国全土で一般公開された商業映画「愛在深秋 Love in Late Autumn」を監督。
2018年にバルカン半島で「どこでもない、ここしかない No where, Now here」を制作。2018年夏に再度バルカン半島へ渡り、セルビア・クロアチア・モンテネグロで長編映画7作目となる「いつかどこかで Somewhen, Somewhere」を監督する。国籍や国境にとらわれない作品制作を続け、最新作は大阪3部作の3作目の群像劇「カム・アンド・ゴー  Come and Go」(2020年)で、同年の東京国際映画祭で上映され話題となった。2021年に一般公開予定。

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