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乱世備忘─ 僕らの雨傘運動|Yellowing

日本初公開! 香港インディペンデント映画短編含め一挙9本上映

乱世備忘─ 僕らの雨傘運動|Yellowing
A

2014年に起こった雨傘運動の始まりから終わりまでを記録したドキュメンタリー映画。監督のチャン・ジーウンは運動全体を俯瞰することなく、無名の若者たちに焦点をあてた。カメラは雨傘運動の中で彼らが変化していく様子を冷静に見つめるが、最後はとてつもなく感動的な青春物語に仕上がっている。2016年のバンクーバー映画祭で上映された時、アメリカの有名な映画評論家デビッド・ボードウェル(David Bordwell)は本作を最高の5本の内の1本、香港の若者に大変勇気付けられたと絶賛した。

2016年/128分カラー/広東語/Blue-Ray

監督▶︎チャン・ジーウン Chan Tze Woon

日本語字幕▶最上麻衣子

憂いを帯びた人々|Leaving in Sorrow
B

中国返還にともなう香港人の心境の変化を描いたこの映画は、香港、北京、深セン、サンフランシスコを舞台に、信仰を失った牧師、希望を持てない無気力な若者、過去の傷を背負った雑誌編集者に焦点を当てた群像劇である。香港インディペンデント映画の旗手、ヴィセント・チュイ監督の劇映画長篇デビュー作。香港を代表するスター、「恋の紫煙」のショーン・ユー(余文楽)の主演デビュー作。返還後の香港、そしてその未来の情景を予見する香港インディペンデント映画の傑作。

2001年/90分/カラー/広東語・中国語・英語/DVD
監督▶ヴィンセント・チュイ Vincent Chui
出演▶ショーン・ユー、アイビー・ホー、トニー・ホー
脚本▶パトリック・コン   日本語字幕▶市川菜摘

HK-A
HK-B
狭き門から入れ|Three Narrow Gates
C

返還から10年を経た香港が舞台。中国政府が約束した「一国二制度」は果たして維持されているのか。警察、新聞記者、牧師という接点を持たない3人が弁護士殺人事件を通じて繋がり、中国官僚と香港不動産企業が癒着し利権を得たスキャンダルを暴いていく。ヴィンセント・チュイ監督が商業映画ではタブーとされる香港と中国の抱える矛盾や政治の陰謀を描くと同時に、第一級のクライムサスペンスとしても成功している。過去2度の香港アカデミー賞助演男優賞に輝くリウ・カイチー(廖啓智)が主役の牧師を熱演。

2008年/105分/カラー/広東語/Blue-Ray
監督▶ヴィンセント・チュイ Vincent Chui
出演▶リウ・カイチー、ジョーマン・チャン、

ドゥ・ハイビン 脚本▶グレース・マック 

日本語字幕▶吉田雅子

HK-C
哭き女(なきおんな)Keening Woman
D

香港実験映画の第一人者であるリタ・ホイ監督の劇映画長篇第二作。死んだ親戚の通夜を経験した後、自身が持っていない記憶やアイデンティティの間をさまよいながら、異常行為を繰り返すヒロイン。香港の過去、現在、未来を寓意的に描くホラー映像詩。実験的なスタイルとジャンル映画を融合し、インディペンデント映画でもなく、商業映画でもない、従来の香港映画のイメージを打ち破る美しい作品からは、香港という都会への愛が画面の隅々からにじみ出ている。ヒロインを全身全霊で演じた香港のスター女優、ミシェール・ワイ(詩雅)はあまりにも美しい。

2016年/115分/カラー/広東語/Blue-Ray
監督・脚本▶リタ・ホイ  Rita Hui
主演▶ミシェール・ワイ、ミツイ・ハナ
日本語字幕▶河合彩子

HK-D
[3作品上映/計101分/Blue-Ray]
河の流れ 時の流れFlowing Stories
E

商業映画界でも知られた女性監督、ツァン・ツイシャン(「ビッグ・ブルー・レイク」は大阪アジアン映画祭で上映され、「君の香り」は日本でも劇場公開された)による、自身が生まれ育った村の過去、現在、未来を複数の家族のストーリーを通じて多面的に描いたドキュメンタリー。舞台となる村からフランス、イギリスへと移民した家族の映像は、香港のとある村の近代史、世界との関係を野心的に構築し、過去100年に渡る香港社会の縮図を浮き彫りにする。素晴らしい編集を手掛けたのは長年エリック・ロメールの映画の編集に従事する香港人メアリー・スティーブン。

2014年/102分/カラー

広東語・客家語・フランス語など/Blue-Ray
監督▶ツァン・ツイシャン Jessey Tsang
編集▶メアリー・スティーブン Mary Stephen
音楽▶茂野雅道日本語|字幕▶安部和美

HK-E
香港の今が分かる傑作短編集 【3本計101分、日本語字幕▶︎神部明世】
F

F1  九月二十八日・晴れ | a Sunny day

日本でもよく知られる中国インディペンデント映画監督、イン・リャン(応亮)が香港亡命後初めてメガホンを取った短編。タイトルにある九月二十八日は雨傘運動が起きた日でもある。雨傘運動が勃発した当日、映画配給会社に勤める女性がまもなく老人ホームに入る父親に会いに行く……。父親役には香港アカデミー賞前会長、ジョー・チョン(張同祖)。本作は2016年台湾アカデミー賞の最優秀短編賞を授賞した。

2016年/25分/広東語

監督・脚本▶イン・リャンYing Liang|撮影▶大塚竜治

主演▶ジョー・チョン、アイビー・パン

F2  遺棄 | When We Cannot Breathe

父親が自殺し、1人残された息子。フラッシュバックで描かれる父親の生前の行動から、社会に「遺棄」された人々の姿が浮かび上がる。香港テレビ局(RTHK)に所属する映像ディレクター、マック・ジーハン(麥志恆)が撮った、胸を締めつけるようなヒューマンドラマの傑作。この映画から雨傘運動の遠因でもあり、未だに解決の糸口が見つからない、さまざまな不平等、社会問題が見えてくる。

2013年/50分/カラー/広東語

監督▶マック・ジーハン Mak Chi Hang

F3  表象および意志としての雨  

Being Rain: Representation and Will

香港の社会運動を撮影していた映像制作チームは、ある謎の組織が人工的に天候を操作し、民衆のデモへの参加意欲を損なおうとしていることにきづく。彼らは組織の場所を突き止め、潜入を試みるが……。「乱世備忘」の監督でもあるチャン・ジーウンが、ジョニー・トー主宰の新人監督発掘コンペティション「鮮浪潮」で助成金を得て制作。本作はフェイクドキュメンタリーである。

2015年/26分/カラー/広東語

監督▶チャン・ジーウン Chan Tze Woon

HK-F1
HK-F2
HK-F3
アウト・オブ・フレーム|Out of Frame
G

北京近郊の芸術村「宋莊」は政府にとって不都合な絵の展覧会を開催されたという理由で、当局の監視下に置かれた。本作はその実在の芸術村をモデルにしている。政府に封殺される画家が自身の血で創作を続け、公安の暴力に対抗する。監視、監禁され、精神的にも追い詰められた彼はある“取り返しのつかない決断”をする……。本作から香港の自由な創作環境もいずれは中国のようになると恐れる監督の視点が読み取れるだろう。監督は、過去ベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などにも出品したことがあるウィリアム・クォック。

2015年/95分/カラー/中国語/Blue-Ray

 監督▶ウィリアム・クォック  William Kwok Wai-Lun

日本語字幕▶櫻井里絵

HK-G
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